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こんな謳い文句でサイト制作会社から営業がきた事はありませんか?ホームページ制作をリース契約で行うのは要注意です。一見、初期費用を抑えられるというメリットがあるように見えますが、長期的に見るとかえってコストが高くなったり、さまざまなリスクを抱えることになります。
目次
ホームページ制作のリース商法とは
ホームページ制作のリース契約は、一般的に「三者間契約」と呼ばれる独特な仕組みで行われます。この契約には、以下の3つの主体が関わります。
- 依頼者(あなた): ホームページを制作してほしい事業者
- 制作会社: ホームページを実際に制作する会社
- リース会社: 制作会社に代わってホームページの代金を支払い、依頼者からリース料を受け取る会社
リース契約の基本的な流れ
- 制作会社が営業をかける :「初期費用0円でホームページが作れます」「月額数万円でプロのホームページが手に入ります」といった謳い文句で、依頼者であるあなたに営業をかけます。
- 三者間契約の締結:あなたが契約を希望すると、制作会社はあなたとリース会社との間で三者間の契約を締結するよう促します。 この際、あなたは制作会社ではなく、リース会社と金銭的な契約を結びます。
- リース会社が制作会社に代金を一括支払い:契約が成立すると、リース会社はホームページの制作費用全額を制作会社に一括で支払います。
- 依頼者がリース会社に月々支払い:あなたは、リース会社に対して、契約で定められた期間(3~5年など)にわたって、月々のリース料を支払います。
そもそもホームページはリースの対象にならない
なぜホームページがリース契約の対象になるのか?
ホームページはそもそも無形物なので、本来は法律上リース契約を結ぶことができません。ただ、ホームページに管理CD-ROMやタブレットなどの有形物を抱き合わせてリース契約を結ぶ「リース商法」が存在します。
悪質な業者の中には、以下のようないわゆる「脱法行為」とも言える手法を用いることがあります。
- 「ホームページ制作ソフト」をリースの対象にする: ホームページを作成するためのCD-ROMやソフトウェアをリースの対象とし、ホームページ制作自体は「おまけ」のような扱いで契約を成立させるケースです。実際にはほとんど使用しない、無意味なソフトであることも少なくありません。
- 「管理用タブレット」などをリースの対象にする: ホームページの管理に必要な機器として、安価なタブレット端末などをリース物件とし、その中に高額なホームページ制作費用を上乗せして契約するケースです。
このように、あくまで「有形物」を借りる契約として体裁を整えることで、法律の網をかいくぐろうとします。

リース契約の落とし穴
この仕組みはグレーな契約方法といった面以外にも、いくつかの大きな落とし穴があります。
1. トータルコストが高額になる可能性がある
リース契約は月々の支払いが少なく見えますが、契約期間(通常3〜5年)全体で考えると、一括払いで制作を依頼するよりも総額が高くなるケースがほとんどです。これは、リース会社の手数料や金利が上乗せされているためです。
2. 途中解約が原則できない
リース契約は長期にわたる契約であり、原則として途中解約ができません。もし事業内容が変わってホームページが不要になったとしても、契約期間中は支払いを続ける義務があります。事業者間の取引であるため、クーリング・オフ制度も適用されません。
3. ホームページの所有権がない
リース契約は、あくまで「借りている」状態です。ホームページの所有権はリース会社や制作会社にあり、契約者にはありません。そのため、契約期間が終わるとホームページが使えなくなったり、買い取りをしようにも高額な費用を請求されたりする可能性があります。
4. カスタマイズや運用の自由度が低い
リース契約で提供されるホームページは、多くの場合、テンプレートがベースになっています。そのため、デザインや機能の変更、コンテンツの追加などのカスタマイズが自由にできないケースが多いです。また、修正や更新を依頼するたびに、別途費用が発生することもあります。
5. 希望するタイミングでリニューアルができない
ホームページの運用をある程度の期間続けていくとデザインやレイアウト、導線の変更などを見直して大幅に改善したくなる場合があります。しかし、契約期間内にサイト全体のリニューアルをしたくても対応してもらえないか、新たな契約を求められる可能性があります。
6. 制作会社が倒産しても支払いが続く
リース契約は、依頼者、リース会社、制作会社の三者間で結ばれることが一般的です。万が一、制作会社が倒産した場合でも、依頼者はリース会社への支払いを続ける義務があります。制作会社が倒産すると、ホームページの修正や管理ができなくなり、支払いだけが残るという最悪の事態に陥るリスクがあります。
7. ホームページの品質が低い可能性がある
リース会社は制作会社に一括で制作費用を支払うため、制作会社は手抜き工事をしても利益が確保できてしまいます。その結果、質の低いホームページを作成されたり、追加の要望に対応してくれないなど、トラブルに発展する可能性も否定できません。
まとめ
このようにホームページ制作のリース契約は、初期費用を抑えられるというメリットの裏側に、多くのリスクとデメリットが潜んでいるため、安易に契約しないよう注意が必要です。
初期費用を抑えたい場合は、分割払いに対応している制作会社やフリーランスを探したり、自分で簡単に作成できるツールを利用したりするなど、別の方法を検討することをおすすめします。